『情無用のコルト』 (Togetter「蔵臼金助氏による『情無用のコルト』コラム再録ツイートまとめ」)


 世界最初のラップ・ミュージック(ニコ・フィデンコ談)に乗せて、『バンディドス』と並んで私が愛して止まない『情無用のコルト』と、祝ハートフォード/スタール発売記念、西部劇に登場した珍しいリボルバーのコラムを再掲します。

『コルト夜話』

 『情無用のコルト』DVDを購入された方の中には、劇場公開時にスクリーンで御覧になった方も大勢いらっしゃることでしょう。映画に感激してガンマンを夢見た当時10代、20代の若者も、今ではサラリーマンとなり、拳銃(モデルガン)を捨て、牧場(戸建て)を手に入れて、家族と平和な生活を送っているかもしれません。そういう方は深夜、家族に内緒でこっそりと裏庭を掘り起こし、昔埋めておいたコルトを握りしめながら、この作品を鑑賞して下さい。特に、娘が嫁ぐ夜に観直すと感無量です。私もかつてこの映画を観た時は若者スティーヴに感情移入しながら観たものですが、数十年ぶりにDVDで観直してみると、今ではデュークの気持ちとすっかり同化している自分に気が付きました。
 『情無用のコルト』は、他のイタリア製西部劇とはひと味違います。水彩画を思わせるタイトルから、静謐な雰囲気を漂わせています。主人公は拳銃を捨てようとして捨てきれなかった初老のガンマンと、稼いだ金で平和な暮らしを夢見る若い賞金稼ぎの二人。彼らは端正なスーツ姿。マカロニガンマン特有の髭面でさえありません。屋根の上から撃ってくる敵と撃ち合う、“縦の構図”を活かした撃ち合いは迫力十分ですが、銃撃戦の間、台詞は一言も交わされず、鼓舞させる様なBGMも流れません。ロケ地アルメリアの風景を捉えるカメラは美しく、マカロニには珍しい牛の群れまで出てきます。そして、ニコ・フィデンコの愁いを帯びた素晴らしい音楽…。
 スティーヴとデュークが使う銃は、共に5 1/2in.銃身のイタリア製S.A.A.です。真鍮製グリップ・フレームに木製ワンピース・グリップの付いたその複製コルトを、スティーヴは右腰のホルスターに下げ、デュークは二挺拳銃で使用します。銃器研究家にとって興味深い銃は登場しませんが、見せ方に工夫があるため、数々の印象に残るアクション・シーンが生まれました。弾を撃ち尽くしたスティーブが差し伸べる手に、一瞬躊躇った後、無言でバックアップのコルトを差し出すデューク。その時の二人の表情だけでも、ドラマが感じられますよ。


【西部劇に登場した珍しいコルトのバリエーション】
 せっかく邦題、原題共にコルトの名がつけられていますので、今回はウエスタン・ムービーに出て来た珍しいコルトのバリエーションと、コルト社のコンペティターが作ったリボルバーを列挙しました。この詩情溢れるイタリア製西部劇の余韻を噛みしめ、モデルガンを握りしめながら読んで頂けると幸いです。読み終えたら、コルトは再び裏庭に埋め直し、何事も無かったかの様に家族と平和な、賞金稼ぎ(ガンマン)…いや、給料稼ぎ(サラリーマン)の生活に戻って下され。

【パターソン・リボルバー】
 試行錯誤がデザインに顕れていて、リコイルシールドとフレームが分割されてたり、トリガーガードが無かったりしますが、紛れもない、これは世界で最初の量産型回転式連発銃。今も世界の多くの国・地域で使用されてるリボルバーと、構造的に何ら変わるところはありません。
 個性の強いデザインが敬遠されたか、この銃が映画に登場したことは殆どありません。マカロニでは皆無です。複製モデルのテキサス・パターソンが『マスク・オブ・ゾロ』に、おそらく実銃らしきローディング・レバー付きのものが『ジェシー・ジェームズの暗殺』に出てきたくらいでしょう。

【ベビードラグーン】
 ドラグーン・モデルを軽量化、携帯に適した形にダウンサイジングされたポケットモデルです。口径.31。5連発。銃身長は3〜6in.と数種類取り揃えられ、M1849ポケットに発展します。M1849ポケットとは異なり、トリガーガード後方がスクエアバックになってます。
 『血斗のジャンゴ』に珍しい、ローディング・レバー付きの後期型が登場。ジャン・マリア・ヴォロンテがスパイを処刑する際に用いました。マカロニはもちろん、西部劇に登場すること自体が珍しいモデルです。

【コルトM1894ビズリー】
 英国の射撃場“ビズリー”の名を冠した、S.A.A.射撃用バージョン。1894年に誕生。射撃に適した猫背型の独特なフレームを持ち、ハンマー、トリガーも専用のものが装着されました。ハリウッド製西部劇の登場人物が時々身につけています。
 ゲーリー・クーパーの愛銃として知られており、『荒野の七人』ではイーライ・ウォラックが愛用。史上初の列車強盗ビル・マイナーを描いたカナダ製西部劇『グレイフォックス』では、スクリーンに滅多に出て来ないビズリーを丁寧に描写していたのが印象に残ってます。『レッド・サン』ではアラン・ドロン扮する悪役ゴーシュが、嬉しそうに5.5in.銃身を振り回しました。

【コルトM1877ライトニング】
 コルト社の設計技師ウィリアム・メイスンがデザインした、同社初のダブル・アクション・リボルバー。ビリー・ザ・キッドが愛用した銃として知られています。撃発システムがデリケートな構造を持っており、レプリカが作られておりません。そこで、グリップ・フレームのみを、ライトニングと同じ形状のバーズ・ヘッド・タイプとしたS.A.A.のコピーが商品化されており、たまに西部劇に登場します。オリジナルのライトニングを、『ヤングガン』でビリー・ザ・キッドに扮したエミリオ・エステヴェスが携帯しました。7.5In.と5.5in.の二挺を使い分けてたのが贅沢です。彼はその後、『ワイルド・ウェスタン 荒野の二丁拳銃』で同じく二挺のライトニングを握りしめ、香港ノアールと見紛うばかりに撃ちまくります。マカロニでは、『新・さすらいの用心棒』でジュリアーノ・ジェンマがニッケル鍍金のライトニングを使っていました。
 “ライトニング”は主に.38口径としてデザインされましたが、.41口径も作られ、それは“.41口径ライトニング”、または“サンダラー”と呼ばれます。『トゥームストーン』でヴァル・キルマー演じるドク・ホリディが、決闘に臨む時に使ったのが、この“サンダラー”ニッケルモデルです。

【コルトM1878ダブル・アクション・フロンティア】
 “ライトニング”に続き、コルト社が発表した大口径ダブル・アクション・リボルバーです。バッファロー・ビルが愛用した事で有名。その後このモデルが発展、スイング・アウトによるエジェクション・システムを持つM1889ネービーが誕生し、現代とほぼ同じ構造のリボルバーが完成しました。『ホワイト・バッファロー』でチャールズ・ブロンソン演じるワイルド・ビル・ヒコックが使用しますが、ライトニング同様、レプリカが作られておりませんので、登場する事自体が珍しいです。『トゥームストーン』では、カート・ラッセルがニッケル・モデルを使いました。戦後のレプリカメーカーは、ライトニングと同じく、グリップ・フレームをダブル・アクション・フロンティアに似せた、S.A.A.の複製モデルを販売してます。一見ダブル・アクション・フロンティアに見えるその銃は、実のところ構造はS.A.A.なのですが、日本でも“オムニ・ポテンシャル”との名称でモデルガン化されました。


【コルトの影に 〜コルト社以外のリボルバー】
 西部開拓時代に活躍した銃は、コルト社以外にも多くのメーカーの物が存在してました。ライバル会社のS&W、今でも猟銃メーカーとして有名なレミントン、マイナーなところでホプキンス&アレン、ハーリントン&リチャードソン、サベージ、ホイットニー、英国製のアダムス、トランター、そして、ベルギー製やフランス製の名も無いピンファイア・リボルバーたち…。今でこそ正確に再現された複製モデルのおかげで、『黒豹のバラード』の主人公がレミントンM1875を愛用したり、レマットが『クイック&デッド』にゲスト出演したり出来る様になりましたが、'60年代に作られた西部劇の中で、それらの銃が出てくる事は滅多にありません。19世紀後半の北米大陸には、コルトS.A.A.とウインチェスターM92、M66しか存在しなかった様に思えてしまいますが、当時の小道具調達事情を考えると仕方ありませんね。それでも、たまにスクリーンで珍しい拳銃を見かけますので、ここではマカロニを中心に、西部劇に出て来たコルト社以外のレボルバーを幾つか並べてみる事にします。

【スタール ダブル・アクション・アーミー】
 『許されざる者』のDVDジャケットを見てみましょう。背中を見せ、後ろ手に組んだクリント・イーストウッドの右手に、見慣れないキャップ&ボール式のパーカッション・リボルバーが握られています。これが、スタール・ダブル・アクションです。ウィリアム・マニーと言う役名から、本来ならビリー・ザ・キッド(本名:ウィリアム・H・ボニー)が愛用したコルト・サンダラーが握られていそうなものですが、イーストウッドはこの映画の主人公に、ジェシー・ジェームズが愛用した拳銃を持たせました。1856年頃、ニューヨークのブロードウェイに設立されたスタール・アームズ・カンパニーの商品で、エネベッツァー・スタールが設計。.44と.38口径の物とが在り、映画ではダブル・アクションが使われましたが、シングル・アクションも存在します。日本でも古式銃としての販売・合法的所持が可能で、昔の「GUN」誌に広告が載ってましたなあ。一見ソリッド・フレームに見えますが、シリンダー後方のサム・スクリューを外すとフレームが前方にテイクダウン、シリンダーを素早く交換出来ます。
 スタール・アームズ社は南北戦争終結後の1867年に倒産、その後、.44口径ダブル・アクションはセンター・ファイアに改造され、1900年の中国義和団事件で中国軍によって使用されたそうです。

【レマット リボルバー】
 何故、こんな面白い銃をイタリアの監督は主人公に持たせなかったのか、不思議でなりません。『暁の用心棒』の主人公にサイド・アームズとして持たせたらぴったりだったんですけどねえ。愛用の散弾銃を撃ち尽くした彼が、おもむろにレマットを引き抜いてファニングの9連射、最後に残った数人を必殺の散弾で皆殺し…なんて格好良いシーンを想像したりします。ニューオーリンズのフランス人医師、ジャン・アレクサンドル・フランソワ・レマットが1856年にパテントを取得したこの銃は、通常の銃身の下にシリンダー軸を兼ねた散弾用の銃身を持ってます。ハンマー・ヘッドを折り曲げる事により、.42口径9連発の弾丸と、単発スムース・ボアの.63口径散弾を撃ち分ける事が可能なんですね。

 南北戦争勃発時、レマットはこの銃を主にフランスで生産、約2,200丁を南軍に売りつけました。そのうち、猛将として知られたボーレガード将軍はシリアル427を、アンダーソン将軍はシリアル475、騎兵隊のジェブ・スチュアート将軍はニッケル鍍金のシリアル115をそれぞれ腰に吊るし、戦闘に臨んだと記録されています。後期にはメタル・カートリッジ式に改良されたものや、小数の20in.リボルビング・カービンも作られました。

 最近になってネービー・アームズ社がレプリカを販売し始めたので、映画にもちょくちょく出てくる様になりました。『12モンキーズ』では映画の中の重要な小道具として登場、『クイック&デッド』では珍しい装填シーンを観ることが出来ます。

【ロジャース&スペンサー】
 『スパイダーマン』のサム・ライミが監督した、カラフルな劇画テイストのアクション快作『クイック&デッド』は、物語の内容よりもむしろ、西部劇の商品カタログとして観ると楽しい映画です。例えば銃ひとつ取っても、武器調達とGUNアクション指導を『トゥームストーン』に続き、セル“マーク”リードが担当、その見事な武器の数々は、DVDで繰り返し観て飽きません。主人公エレンの使うニッケルめっき、象牙グリップのS.A.A.、北欧から来たガンマンの使うレマット、彫刻入りレミントンM1875…猫だったら思わず喉を鳴らしてしまいそうな、素晴らしいコレクションが登場します。その中で、スケルトン・リグを用いるプロの黒人ガンマン、クレイ・カントレル(キース・デヴィッド)が使うのが、他の映画では見たことの無い、ロジャース&スペンサー/カートリッジ・コンバージョンです。レミントン・アーミーに酷似したデザインで、混同し易いのですが、グリップ部分のカーヴの具合や各パーツ形状が微妙に異なります。

【メルウィン・フルバート】
 開拓期の西部で実際に多く使われた、独創的なエジェクション・システムを持つ拳銃です。スイングアウトのパテントを開発したダニエル・ムーアが発明したもう一つの排莢システムを、ニューヨークのメルウィン・フルバート社が取得。ホプキンズ&アレン社に製作依頼して販売しました。フレームとバレルを左右にずらし、装填・排莢を繰り返します。オープン・トップのフレームの物が一般的ですが、『ロング・ライダーズ』には、フレーム上部がつながった、ソリッド・フレームに見えるシングル・アクションが出てきます。

【チェスカ・ズブロジョヴカ ZKR-551】
 『DUST ダスト』で、主人公ルークの弟イライジャは、銃身にエキストラクターの付いたソリッド・フレームのリボルバーを使用します。バレルからフレームにかけて一直線になったシルエットは、トランターなどの英国製リボルバーに似てますが、シリンダーにはフルートがあります。S&W bRの様な特徴的な銃身を持ってますが、中折れ式ではありません。S.A.A.に似た旧式の構造、表面仕上げも古びた感じにしてますが、設計されたのは1950年代に入ってから。おそらくはスクリーン初登場の、チェスカ・ズブロジョヴカ(チェコ銃器工業)製、.38口径ターゲット・リボルバーです。

【ル・フォウショウ ピンファイア・ダブル・アクション】
 フランス人銃器デザイナーのル・フォウショウは「カートリッジ」を考案、1830年代に世界初の後装式拳銃として、ピンファイア方式を確立します。欧州で普及したその銃は、その後ベルギーやフランス、イギリスで生産され、マカロニでも見かける事があります。『夕陽のガンマン』にもちらりと出ましたが、印象的な使われ方をしたのは『復讐のガンマン』においてです。オーストリア人男爵に扮するジェラルド・ハーターは決闘用のプレゼンテーションケースに入れられた二挺のル・フォウショウをリー・ヴァン・クリーフに披露、クライマックスの決闘に使用します。彼もまた、『クイック&デッド』の黒人ガンマンと同様にスケルトン・リグを愛用。そのおかげで、彫刻の入ったフレームの様子をしっかりと観察することが出来ます。

【ペッパーボックス】
 一説によると西部開拓時代には、高価なS.A.A.よりも普及していたとか。欧州で安価なモデル、コピー品が大量に作られましたが、映画に出ることは稀で、発砲シーンとなると数えるほどしか記憶にありません。回転式拳銃が発明される前の過渡的な製品です。回転式弾倉と銃身が一体化、その形状がペッパー・ミル(胡椒挽き)に似てる事からその名が付きました。

 『続・夕陽のガンマン』の銃砲店シーンで、テュコが匂いをくんくん嗅ぎながら操作していたのがこの銃ですが、最も活躍したのは『DUST ダスト』でしょう。賞金稼ぎルークは、複製コルトのバックアップに英国製コグスウェル・ペッパーボックスを用います。ルークに扮するデヴィッド・ウェンハムの身のこなしが素晴らしく、相当練習を積んだのでしょう、見事なファニングまで見せてくれます。遠方の敵を一瞬のうちにトゥー・ハンド・シューティングで撃ち倒す時も、銃身がぶれておりません。本当に命中しそうな撃ち方をするのです。

   『DUST ダスト』のルーク(デヴィッド・ウェンハム)は、複製コルトとペッパーボックスの二挺拳銃

 そしてコルトを撃ち尽くすと、間髪を入れずペッパーボックスを取り出すのです。銃撃シーンを直接監督したダリオ・チオーニによりますと、このペッパーボックスは英国のアンティーク・ショップで手に入れた17世紀の実銃で、発火させるのが難しく、何度もNGを出したそうです。他には、『さすらいのカウボーイ』で大口径ペッパーボックスの銃撃シーンが、西部劇ではありませんが、アレックス・コックス監督の『ウォーカー』でもペッパーボックスの発砲を見ることが出来ます。

【ボデオ M1889 サービスリボルバー】
 『暁の用心棒』でアギラが腰に下げ、最後の決闘でよそ者のショットガンに弾き飛ばされる銃は、イタリア製の軍用リボルバー、カルロ・ボデオが設計したM1889。
 口径10.35oの6連発、ダブル・アクション。1889年から1925年の間に、イタリアのグリセンティ社やスペインで量産され、第一次〜第二次世界大戦にかけて伊軍が使用しました。西部劇に出てきそうな形状をしてるので流用されたのでしょう。『暁の用心棒』では通常のモデルと、トリガー・ガードが無く、フォールディング・トリガーを持った二種類のモデルを見る事が出来ます。ホラー映画ではありますが、『デモンズ'95』で墓守役のルパート・エヴェレットがゾンビを射殺するのにこの銃を使用。装填シーンも出てきますよ。きっとチネチッタの倉庫に在庫が在るんでしょうねえ。イタリア映画には時々登場する銃です。

【シャメロ・デルヴィンMle1873】
 MAS1873とも呼ばれるフランスの軍用拳銃で、サン・エティエンヌ造兵廠により1873年から1887年の間に作られました。ベルギーで作られたコピーも含めると33万7千挺製造されたので、欧州では見慣れたアンティークなのかもしれません。口径11oの6連発、ダブル・アクション。『ハムナプトラ』の傭兵リックが二丁拳銃でバンバン撃ちまくっていたのがこの銃です。マカロニや西部劇にもたまに出てきます。『黄金の七人』の“教授”役フィリップ・ルロワが主演、『カリギュラ』のティント・ブラスが監督した未公開マカロニ『YANKEE』(66)では、主人公のガンマンがこの銃のイタリアン・バージョンを使いました。フランス人が主役を演じたマカロニの小道具としては最適ですね。

   未公開マカロニ『YANKEE』で、フランス人俳優フィリップ・ルロワは、イタリアでライセンス生産したグリセンティ製シャメロ・デルヴィンを使用

【ラスト&ガッサー M1898】
 アウグスト・ラストが設計、レオポルド・ガッサー社が製造したオーストリア/ハンガリー帝国の将校用拳銃。口径8o、装弾数8発のダブル・アクション。1898年から1912年にかけて製造され、主に第一次世界大戦で使用されました。リボルバーは再装填に時間がかかります。そのため敵は、戦闘時に相手が6発撃ち終えるのを数えて、襲いました。教訓を活かし、この銃は装弾数が8発となってます。『大西部無頼列伝』の憎めないキャラクター、バランタインが戦闘中に拾い、橋で撃ちまくったピストルがこの銃です。オリジナルのまま用いても考証的におかしくないのですが、この映画のラスト&ガッサーはダミーのエジェクターと銃身、モダンな感じの照星が後付けされて、変なことになっちゃってます。

   ラスト&ガッサー。最近では『エンジェル・ウォーズ』にもちらりと登場

 『ガンマン無頼/地獄人別帖』の物語後半にはオリジナルのラスト&ガッサーが登場、ステファン・ザカリアスがクラウス・キンスキーに突きつけていました。『帰ってきたガンマン』にも同じオリジナルの銃が登場します。

【モンテネグリン・ガッサー】
 『さすらいのカウボーイ』の冒頭、悪役マクヴェイがベルトに変わった銃をさして登場しますが、モーゼルC96の様なブルーム・ハンドルを持つこの大型リボルバーが、モンテネグリン・ガッサーです。モンテネグロ公国がレオポルド・ガッサー社のM1870リボルバーを正式採用、この銃が誕生しました。床井雅美氏によると、19世紀のアルバニア地方では男子が成人となった時に、大人の男である証として、銃を1挺持つ伝統があったそうです。男の証、シンボルとして、彼らは大型のリボルバーを腰にさしたので、マクヴェイはアルバニア伝統の携帯方法を採っていたことになりますね。『ダスト DUST』にもこの銃をベルトに誇示する様に差したガンマン達が登場します。


(蔵臼金助)

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