あとがき
考えてみるとあとがきを書くのは初めてかもしれません。改めましてなんからです。
『夕陽の決斗/黄金ガンマン』を読んで下さって、あるいは多少なり興味を持ってここを覗いて下さって、ありがとうございます。
マカロニ・百合・ウエスタンなどと称しておりますが、百合分は低いので、それ目当ての方は申し訳ありませんでした。
マカロニ・ウエスタンを優先した結果こうなりました。
この作品は、私のマカロニ・ウエスタンが好きで好きで仕方ないという欲求に塗れて書き上がりました。
西部劇小説というよりも、どうすればマカロニ・ウエスタンという『映画』の『小説パロディ』ができるか、を目標に色々と試行錯誤もしましたし、読んで下さる方に面白いものが書けたかどうか、正直自信はありません。
でもびっくりするくらい書くのが楽しかったです。
作品のクオリティに色々不満はありますが、現在の私なりに、目一杯マカロニ・ウエスタンしたつもりです。
女ガンマンというのは珍しくありません。
しかし女ガンマンというと、お色気過剰だったり、男性とのロマンスやベッドシーンがあったり、という方向のものになりがちなイメージがあります。
お色気も素敵なものは楽しく摂取しますが(『続・殺戮のジャンゴ』大好きです)、私はやはり強い女たちがその強さだけによって立ち、かといって性別を偽るわけでもなく、ただ個々のアウトローとして、ひたすらカネや復讐のため、私利私欲のため、非情かつドライに戦う物語が好きなわけです。マカロニ・ウエスタンが好きなので。
かつ、百合好きとして男相手ではなく女同士で、つまりちょっとしたレズビアニズムもあれば嬉しいよねという、そういう感じで書いた作品です。
マカロニ・ウエスタンをテーマに書いた作品ですが、あまりにそのままなパロディは入れないようにしました。
それでも細かいところでは色々入っていますし、これはちょっとどうかな?ギリギリかな?というのも結構あります。ラスト周辺とか。
(もしくは意図せず何らかの作品と丸かぶりしている部分がある可能性も大いにあります。教えてください。知らなかったら観ます)
まぁしかしそれもマカロニ・ウエスタンなのでいいかなとも思っています。
もしもマカロニ・ウエスタンが好きな方が読んで下さって、ちょこちょこニヤリとして頂けたら、こんなに嬉しいことはありません。
もしもマカロニ・ウエスタンはあまり知らないという方が読んで下さって、マカロニ・ウエスタンに少しでも興味を持って頂けたら、こんなにこんなに嬉しいこともありません。
マカロニ・百合・ウエスタン、書きたいネタが多すぎるので今後もまた書きたいなぁと懲りずに思っています。
なんとなくの構想だけで短編含めて既に四、五本あるので、脇に予定している関連シリーズと同時進行で、せめて一、二本は書きたいものです。
それでは、お付き合い本当にありがとうございました。感想や誤字脱字報告など、頂けると大変喜びます。
マカロニ・ウエスタンそのものは、もうほとんど死に絶えてしまった映画ジャンルです。
それでもマカロニ・ウエスタンは、今でも面白いんです。
本当に面白いんです。
2012/1/20 なんから
以下は『夕陽の決斗/黄金ガンマン』の元ネタ解説のようなものです。
マカロニ・ウエスタンに特に興味がない方、あるいはネタばらしのようなものが好きではない方には向かない内容です。
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・作品全体
当初のイメージはそのまんま『夕陽のガンマン』でした。
若いガンマンとベテラン賞金稼ぎの構図は同じでしたが、夕陽のガンマンのようにあくまで二人が対等なものにするつもりでした。
しかし結局キャットを多少「未熟な若者」に置いて、『怒りの荒野』『バンディドス』『新・夕陽のガンマン』のような師弟ものの要素を入れました。
師弟関係ではないですけどね。
ラストはまぁ、『盲目ガンマン』で。
・ゴールド・キャット(ジェイン・リーバー)
だいぶ善玉寄りのキャラクターになってしまいました。
アクション、ガンプレイのモデルはジュリアーノ・ジェンマ、ロングコートの上からガンベルトを巻いているスタイルは『ガンマン無頼』のフランコ・ネロです。
当初のイメージが『夕陽のガンマン』でしたので、クリント・イーストウッドのイメージも盛り込むつもりだったものの、結局それは葉巻くらいになりました(ポンチョを着せようかと思っていたのですが、あのスタイルはあまりにもアイコン化しすぎているので避けました)。
小柄でショートカットで目の大きな女ガンマンというと『西部のリトル・リタ』のリタ・パヴォーネですが、リトル・リタを鑑賞したのは書き始めて結構経ってからなので、モデルではないです。モデルにしたかったですが。
キャラクター性のモデルは特にありません。
漠然とある「未成熟で不機嫌な若者」像です。強いて言うなら上述の『怒りの荒野』のスコットや『新・夕陽のガンマン』のビルから暗い背景を取り除いた感じでしょうか。
・レダーナ・ウィンチェスター(マヌエラ・ルセロ・デリベス)
まるっとリー・ヴァン・クリーフです。キャラクター性のモデルは『夕陽のガンマン』のモーティマー+『怒りの荒野』のタルビーですが、それだとちょっと格好良すぎかもしれません……まぁ、クリーフ的な余裕としたたかさがモデルということで。
服装は、マントの下はそのまんま『復讐のガンマン』のコーベット。帽子がスペイン帽(コルドベスハット)なのも、クリーフがそれっぽいのをよく被っているからです。
最初はインバネスコートを着せようかと思ったのですが、これもあまりにもモーティマーや『西部悪人伝』のサバタになってしまうのでマントに。
でもマントって、マカロニウエスタンの主人公サイドの人物はあまり身につけていない気がしますね。どちらかというと純然たる悪役・敵役が纏っているイメージです(有名所の『ガンマン大連合』のジャック・パランスとか、『復讐のガンマン』のジェラルド・ハーターとか。『Vengeance』のクラウディオ・カマソも、物はインバネスかもしれませんがマントっぽく羽織っていたのが印象に残っています)が、まぁそれはそれで。
役者がスペイン女優なのは、私がニエヴェス・ナヴァロが大好きだからです。
・ゲール・ブレナン(ナターリヤ・ニビエスカ)
モデルはクラウス・キンスキーであり、『夕陽のガンマン』のジャン・マリア・ヴォロンテであり、『ガンマン大連合』のジャック・パランスです。
筋肉質大女なのは単純に「デカい悪い女迫力あって格好いい大好き」な私の趣味ですが、まぁパランスとかもデカいのでいいかなと思います。
服装に具体的なモデルは考えていませんが、マカロニウエスタンの悪役は結構よくフォーマル寄りのいい服を着てるので。
保安官バッジ、マカロニウエスタンで出てくるのは五芒星のほうが多い気がしますが、『星空の用心棒』の印象が強かったので六芒星になったのだと思います。先尖ってないですけど尖らせてもよかったですね……。
・パウラ(パウラ・サンチェス)
もうそのまんまフェルナンド・サンチョです。役柄名と役者名が一緒なのも。
ちなみに(作中で明言はしなかったもののどう見ても)バントラインスペシャルなコルトを持っているのは『南から来た用心棒』のサンチョから。
・ドナ(ミケラ・シモネット)
これもすぐネタが割れると思いますが、両脚がないのは『続・夕陽のガンマン』の情報屋みたいな人がモデルです。
・シェリー(アリーチェ・グリエルミ a.k.a. エイミー・クリフォード)
とくにモデルはいません。敢えて言うなら『血斗のジャンゴ』のヒロインが外見のイメージとしてぼんやりとあるかな、どうかな?というくらいです。
あとはまぁ、サンチョはよく情婦に裏切られるので。
・最初に出てきた酒飲み婆さん
うるさい変な爺さんもマカロニウエスタンのお約束ですし、マカロニ百合ウエスタンなので婆さんにしました。
他にも色々あったりなかったりしますので、「これはあれか?」みたいなのを突っ込んで頂けたら喜んで答えると思います。
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