あとがき
メキシコ革命物の準備をしていたはずが気付いたらまったく違うものを書いていました。
でも衰えゆくガンマンの話と老若の話、バディ系の話、あと情念系のマカロニがようやく書けたのでわりと満足しています。
次は何系のマカロニにしましょうかね。
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2013/6/26 伊西殻
以下は『星空のガンマン』の元ネタ解説のようなものです。
マカロニ・ウエスタンに特に興味がない方、あるいはネタばらしのようなものが好きではない方には向かない内容です。
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・作品全体
『ミスター・ノーボディ』と『バンディドス』です……としか言いようのない感じです。ノーボディにバンディドスを足した形でしょうか。元の作品がどちらも素晴らしいのでそのままと言うには抵抗がありますけど。『ミスター・ノーボディ』はマカロニウエスタンやその周辺に対するメタ的な視点も含むのが大きな特徴ですが、その辺は取り敢えずなしで。
あとはマカロニウエスタンですからカトリックなモチーフも、かつ、せっかくだから女性がメインのところから持ってこよう、ということで聖書の『ユディト記』。
原題風の「Una Pistola per Judith(ジュディスのための拳銃)」の元ネタはそのまま『Una Pistola per Ringo』で、これは『星空の用心棒』……ではなく、『夕陽の用心棒』であります。ちなみに言い回しをパロっただけで、内容的には全然関係ありません。
・ノウン(リビー・オドネル)
かなり『ミスター・ノーボディ』のノーボディ(テレンス・ヒル)そのままです。服装も銃も。
セリフ回しも『ミスター・ノーボディ』の日本語吹き替え、広川太一郎氏版ヒル(セリフや口調が軽いほう)をイメージしてます。
馬跳びで馬に乗るのは確かトーマス・ミリアン。
・ジュディス・ネック(グロリア・レンナー)
『ミスター・ノーボディ』のボーレガードの伝説ポジションと、『バンディドス』のマーティンの境遇と、あとは色々“老ガンマン”の要素を突っ込んだ感じで。老人じゃなくて中年ですが、このへん西部開拓当時の感覚とマカロニ制作当時の感覚、そして現代の感覚でどう折り合いつけるべきか結構悩ましいですね。
銃がS&Wのラッシャンなのもマーティンから、でもエングレーブモデルなのは派手にしたかったからというだけです。
服装はアンソニー・ステファンがああいう格好をしているようなイメージがあるのですが、改めて確認したわけではないので違うかもしれません、すみません。
役者のモデルに関しては「シスレとのゲーム...賭け金は棺桶に」のマーロウと同じ役者ですのでモデルも同じウィリアム・バーガーです。
・フェルネス・アトキンズ(ジータ・バッソ)
漠然とクラウス・キンスキーをモデルに、強いていうなら『His Name Was King』のキンスキーかなぁくらいのつもりで書いていたのですが、執筆途中でたまたま『Per una bara piena di dollari』を観返したらこれのイメージが結構強かったかも知れないなと気付いたりもしました。
雰囲気と声のギャップ、みたいなものは『殺しが静かにやって来る』イタリア語音声版のキンスキー。
・ローラ(ベッタ・トッティ)
フェミニンなキャラクターというのは具体的なモデルを立てられていないことが多いです。
定番である目付きとアイラインきつめなイタリア系・スペイン系女優のイメージで、敢えて言うなら不機嫌そうな感じが『ドルの両面』『星空の用心棒』『シャンゴ』なんかのガブリエラ・ジョルジェリかなと。
・リン・バガアス(ウェンディ・ダッドリー)
これも漠然とした悪役サイドの脇役という感じで……外見のイメージとしてファビオ・テスティ(主演系俳優ですけど)なんかが頭にないことはないのですが、特徴的に反映されるレベルのものではありませんね。
・モノー(トマサ・ビジャレホ)
マカロニウエスタンといえば欠かせないのが印象の強い顔立ちの悪役ですので、そこから。名前は知られていなくともその顔は多くの人の記憶に残っているであろうホセ・テロン(『夕陽のガンマン』序盤でサドルバッグを開けたモーティマー大佐に撃ち殺されるあの人)とか。
ポジション的にはホセ・トーレスがイメージとしてあるようなないような……喋らない感じは『大西部無頼列伝』のサル・ボージェス辺りでしょうか。
・サルーンの主人(鷲鼻の女)
名前がクレジットされないままこれまでのマカロニ百合ウエスタン全部に“鷲鼻の女”として出てます。
そのどこにでも出てる感じと役柄のイメージ含めてフェデリコ・ボイド(リック・ボイド)がモデルです。
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